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‐備忘録‐

【映画】シンク・オア・スイムがめちゃめちゃ面白かった話。【ネタバレ注意】

sinkorswim.jp

 

こないだ(だいぶ前)映画を見てきたんです。全然期待してなかったんですけど、本当に本当に面白かったのでここにやってきました!

全員が全員にハマる映画じゃないかもしれないけど、私個人の中では歴代TOP10に入るくらい好きなセンスだったので、是非、是が非でも(同じことを繰り返しただけ)この感性がハマる人には、絶っっっ対に見て頂きたい。むちゃくちゃ面白いから。

 

あらすじ

うつ病で働けないおじさん、ベルトランはある日、地元のプールで見かけたシンクロナイズドスイミング教室に通うことを決意する。へんてこ男子シンクロ教室には、様々な問題を抱えている人間が集まっていて、それぞれの問題にフォーカスを当てながら、誰しもの人生に起こりうる出来事を通して、めちゃくちゃ笑えたり、時には切なかったりしながら物語は進んでいく。

ざっくり言うとおっさん版ウォーターボーイズって感じです。

 

登場人物

ベルトラン:うつ病と闘うおじさん。割と常識人。奥さんの親せきが嫌い。

ロラン:難しい性格で奥さんに逃げられる。母親が認知症で施設にいる。

マルキュス:プールを売る社長。会社を潰すことが得意。

シモン:学校の食堂で働くロッケンローラー。子どもがしっかりしてる。

ティエリー:プールの管理人(?)。頼りないけど優しい。

デルフィーヌ:チームの女性コーチ。詩集をいつも読んでくれる。

アマンダ:デルフィーヌのシンクロ元パートナー。事故で車いすに。スパルタコーチ。

 

この映画のおかげで1週間笑えた

ところどころに笑えるところが仕掛けてあるのって映画を見た後の充足感に影響すると思うんですけど、見る側の感情のふり幅が大きい方が記憶に残りやすいと思うし。その”ここ笑うところだよ”がハマるかハマらないかって結構個人的評価の分かれ道だよなって思ったりします。実際洋画で”ここ笑うところだよ”って打ち出されてんだろうシーンが全然自分的に笑えないこと、めちゃめちゃある。めちゃめちゃある。

んですけど、この映画ではめちゃめちゃ笑いました。なんでかっていうと、その”ここわらうところだよ”がめちゃめちゃ自分それ好きな感じ!でドンピシャだったから。もう面白くてしょうがなかったです。序盤はふーんて感じだったんですけど、後半アマンダが出てきてからの「この映画はコメディだったんか!?」ってくらい圧倒的アマンダ強ペースに自分も飲み込まれて最高に気持ちよかった。

てな訳で、この”ここ笑うところだよ”がハマる人にはめちゃくちゃおすすめしたいな。と。でも見なきゃわからないじゃん。じゃ見るしかないじゃん。

ぜひアマンダがおじさんたちをボッコボコにベッコベコに叩きのめすシーンで震えて、反逆に出たおじさんたちの絶妙なまぬけシーンに笑って欲しい。そして最後にはその愛おしさに涙して欲しい。

 

誰もが持っている切なさ

本当人生ってハードですよね。急に重たい話ですが。ただ生きていくってだけなのになぜこんなにも厳しいのか。

ベルトランも好きでうつ病になったんじゃないんですよ。好きで働かない訳じゃない。でもそのせいで子どもにまでやっかまれて、親せきからは馬鹿にされて。

ロランも好きでヒステリック起こしてる訳じゃないんですよね。お母さんのこともあるし、子どもたちのこともあるし。

おじさんたち一人一人の人生があるし、そこに至った経緯があるし、共感できる部分がたくさんあって切なかったです。

そんな中でもデルフィーヌのエピソードが一番切なかったな。そこのシーンがひとつ、転換点だったんじゃないかなと思いました。先生がみんなを救う救世主に見えた分、先生の抱えている切なさが苦しかったです。

ひとつひとつ、そういう経験はないにしろ、そこの人間に対して共感できる背景がちゃんと描かれていて、なおかつ分かりやすくて、感情移入しやすかったのもよかったと思います。

 

映像が持つ力

ここまで書いたように物語がすごく私にとっては良かったんですが、もう一つ、映像センスがものすごいタイプだった話もしておかないといけませんよ。

とにかくタイプ!なにがじゃ!どんなところじゃ!んーそれを言うのは難しい!もうとにかくタイプでした。プールの青、畑の緑、朝焼けの赤、色彩が豊かなのもすごく良かったし、その情景から匂いが香ってくるような瑞々しさも感じられて、あぁ映画ってこうじゃなきゃって一人で小さく頷きました。

あとは構図というのか何というか分からないんですが、広い景色の中にポツンと人がいるというようなカットがあったり、もちろんシンクロをよく見せるためのシーンも色々あって、上からだったり水中だったり、そのわざわざ挟まれるカットが嫌らしさを感じない、絶妙なおしゃれさがあってすごい素敵でした。

 

まとめ

常々思うんですが、映画って見終わったあとに「あぁ面白かったなぁ」って反芻するのが幸せだなぁって。もうひとつは映像で圧倒される体験ができるってのも映画の醍醐味、映画館に行く好きなところかなぁと思うんです。

このシンク・オア・スイムは過去最高レベルで見終わった後に「あぁ面白かったなぁ」と反芻できたし、映像の美しさおしゃれさがもろ自分に直撃だったなと感じました。

フランス映画って疎いんですが、そういうおしゃれさとかギャグセンスを持ち合わせてる映画が多いのかな?ちょっとこれから気にして見てみようと思います。

自分的「これ!絶対見た方がいいよ!」って友人たちに勧めたい映画というより「すっごい自分に刺さった映画だったなぁ」という感じです。すごい好きだった。最後スカッとするのも最高。人生がんばろう。